
世話人ご挨拶
山梨大学医学部救急集中治療医学講座
教授
森口 武史

このたび第39回甲信救急集中治療セミナーを、2025年7月19日(土曜日)に山梨県甲府市で開催させていただく運びとなりました。会場は甲府駅前、山梨県立図書館でございます。昨年に引き続き、新型コロナウイルスの影響が落ち着きを見せる一方で、私たち医療従事者にとっては、依然として感染対策を意識しながら業務にあたる日々が続いております。そのような中で、本研究会が継続的に開催され、救急医療・集中治療に携わる多職種の皆様と知識や経験を共有できることを、大変嬉しく思います。
本研究会は1985年に「信州ICUセミナー」として始まり、重症患者のケアに携わる看護師のレベルアップを目的としたものでした。その後、1996年に山梨県からの参加が始まり、2007年には「甲信救急集中治療研究会」と改称し、現在に至ります。当院での開催は今回で3回目となりますが、前回は2008年の第24回で、当時の会長は私の前任の教授である松田兼一先生でした。開催場所は八ヶ岳ロイヤルホテルで、私自身は事務局長を務めたことをよく覚えております。その後も本研究会が地域の救急・集中治療に携わる方々の交流と学びの場として発展を続けてきたことを、大変感慨深く思います。
今年のテーマ:「あんな症例・こんな症例 〜現場の知見、悩みを共有しよう〜」
救急・集中治療の現場では、日々、予測不能な症例に直面します。同じような病態であっても、患者の背景や病態の進行、処置のタイミングによって経過は大きく異なります。現場で培われた知見や経験を共有することで、私たちが直面する課題を乗り越えるヒントが得られるのではないかと考え、このテーマを設定しました。長野県、山梨県で救急集中治療に携わる、医師、看護師、救急救命士、臨床工学技士、薬剤師、リハビリスタッフなど、さまざまな職種の方々から日常診療の中で経験されたことをぜひ共有いただければと存じます。うまく行った事、うまく行かななった事を発表し、多職種がそれぞれの視点から知見を共有し、よりよい医療の実現に向けた議論ができることを期待しております。
また、今回は特別講演として私の恩師である松田兼一先生をお迎えします。松田先生は、私の前任の教授として山梨大学医学部 救急集中治療医学講座にて長年救急集中治療の最前線に立たれていたと同時に、ここ数年は高齢者医療の現場に身を投じ、我々のところに辿り着く前、あるいは我々の医療機関を退院した後の現状を体験しておられます。高齢者救急が問題になる中、急性期と在宅・慢性期の双方を深く理解されている数少ない臨床家の一人でいらっしゃる松田先生のその原体験に基づく知見は、今まさに私たち救急医療に携わるものにとって「医療の地続き」を教えてくれるものであると確信しております。多くの参加者にとって大きな気づきと学びの機会になると確信しておりますので、どうか多くの方のご参加いただければと思います。
さらに、今回はコロナ禍の総括を企画しております。救急集中治療の現場でそれぞれのご苦労、共有したい経験談、酷い目にあったこと、解決に向けて頑張ったこと、今後起こりうる新興感染症への備えとなるようなセッションにしたいと思います。演題登録をお願いいたします。
本年の会場は 甲府駅の目の前にある山梨県立図書館です。電車での交通の便が非常に良く、遠方からお越しの方もスムーズにご参加いただけます。せっかく山梨にお越しいただく機会ですので、ぜひ周辺の観光も楽しんでいただければと思います。甲府市内には、武田信玄ゆかりの武田神社、山梨のワイン文化を体験できるワイナリー巡り、日本屈指の温泉地である石和温泉など、多くの見どころがあります。さらに、少し足を延ばせば富士五湖エリアや昇仙峡など、自然豊かな景勝地も楽しめます。研究会での学びと併せて、山梨の魅力もぜひ堪能してください。
本研究会が甲信地域の救急医療・集中治療の発展に寄与し、明日からの臨床現場に少しでも役立つ学びとなることを願っております。当日山梨の地で皆様をお待ちしております。